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【株主総会】フジクラ

株式会社フジクラ 本社(東京都江東区

2024年6月27日(木)、株式会社フジクラ(以下、フジクラ)の第176期定時株主総会に出席してきた。

会場は東京都江東区木場にあるフジクラの本社1階。120名程度のキャパに対し出席株主数は64名(事務局発表)。この日は株主総会の集中日ということもあってか、時価総額9,000億円超企業の割には出席株主が少ない印象。

本総会については、インターネットでライブ配信もなされたが、録画公開はなし。

総会の冒頭、議長である岡田社長より「総会は1時間程度を予定している」「吉川取締役が所用により欠席である」旨が告げられた。また、米国子会社における不正事案に関して改めてお詫びと対応の継続についての説明もなされた。

事業報告の後の質疑応答についてはおおむね以下の通り。

  • 米国子会社における不正事案に関しての対応の遅さの指摘と今後の見通し
  • 社外取締役及び監査等委員ではない取締役の少なさ(3名)について
  • 総会運営(質問者は会場内1カ所のみのスタンドマイクまで行って発言)に対する苦言
  • 製品の軍事転用リスクについて
  • 直近の株価高騰と下落リスクについての考え
  • 銅価格の高騰、またそれに伴うセキュリティ面に関して
  • データセンター案件における展望
  • 新興市場における展望
  • 配当、還元方針について
  • 女性活躍について
  • 中期経営計画(25中期)以降の社長個人の考え方について

色々出たが、特に気になった点としては最初の「米国子会社における不正事案」に関して。要は、対応が遅すぎるのではないかとの指摘と、今後スケジュールの見通しはどうなのかという質問。この質問に対して岡田社長が即答できず、少々お待ちくださいと断りを入れた上で、裏にいるスタッフと1、2分打ち合わせを行うシーンがあった。法務的な事なのでもしかしたら専門外なのかもしれないが、さすがに総会中に株主に背を向けて打ち合わせを行う姿には誰もがネガティブな印象を抱いてしまうだろう。そして出た回答としては、「米国法が絡んでくるため時間がかかっている」「今後については動きがあり次第速やかに開示する」といった無難なもの。

他の質問に関しても、全て岡田社長一人で回答をしており、内容もそのほとんどが形式的かつ無難なものであったため、うまく嚙み合っていない部分もあった。

質疑応答の終わりには「そろそろ予定時間となりますので」との断りの上で、議案の説明と採決に移行。決議後の取締役紹介等もなく、総会は予定通り1時間で終了した。

今回実際に総会に行ってみた感想としては、俗に言うJapanese Traditional Company(JTC, 伝統的な日本企業)というイメージはやはり変わらないな、という事。総会では、取締役の後方には多くの社内関係者、そして最前列には執行役員を配し、ガチガチの体制。発言者は岡田社長のみだが在任4年目にしては歯切れも悪い。上述の指摘があったように、会場定員の多さの割にはマイクが1カ所しかなく、質問する株主がわざわざ他の株主の目の前を横切ってまで歩いて行かないといけない等、細かい面でも粗が見えてしまう。フジクラには以前からIRにあまり積極的ではない印象を持ってはいたが、それに加えて今回の保守的な株主総会を見てしまうと、印象は変わらないどころかむしろ悪化してしまう程。外部環境にも恵まれ今後にも期待を持てる企業なだけに、非常に残念な想いで満たされた1時間であった。